6つのマーケティングプロセスYes/Noチャートでチェック!あなたの会社でマーケティングがうまくいかない本当の原因は?
ウェブマーケティングを推進するための6つのマーケティングプロセスとは何か?そのプロセスが適切な手順で進められているかどうかをチェックするための観点をYes/Noチャート図で解説します。
「〇〇事業のマーケティングをなんとかしたい」・・・それは今、どんな状況ですか?
いうでもなくウェブサイトはマーケティング戦略を実行するための手段のひとつに過ぎません。
マーケティング戦略があいまいなまま、むやみにページを作ったり、ウェブ広告を出稿したりしていませんか?あるいは、「お金をかけているわりには思うように成果がでない、とりあえずやってみては失敗の繰り返しでどうすればよいかわからない」という事態に陥ってしまってはいないでしょうか?
Yes/Noチャートでチェック!6つのマーケティングプロセスの到達度
この図はマーケティング活動状態をプロセスに沿って確認するYes/Noチャート図です。
このチャートに沿って、マーケティングプロセスの基本的流れと確認ポイントをご紹介します。
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マーケティングの仕事を6つのプロセスで解説。プロセスに沿ってあなたの会社でマーケティングがうまくいかない原因を見つけるコツを知ることに役立ちます。
さらに、YES/NOチャートで発見したプロセス課題に沿って適切なフレームワークを引き出せるようになります。
マーケティングプロセス1:事業構想の練り直し
≪確認点≫ミッション/ビジョン/バリューやビジネスモデルが明確になっているか?
まずは、マーケティング戦略やマーケティング戦術の確認の前に、そもそも事業構想がしっかり練られてれているかどうかのチェックです。
「事業構想練り直し」での確認ポイントと使えるフレームワーク
確認ポイント | やるべきこと | 使えるフレームワーク |
---|---|---|
なぜ当社がその事業をおこなうのか、その担い手として当社がふさわしいかという問いに明確に答えられるか? | 本当にこの事業をやるべきかどうかを再考する | |
その事業を通じてどのような顧客に、どのような価値提供をするのか明確になっているか? | 顧客提供価値を創出するコンセプトを整理する | ビジネスモデルキャンバス リーンキャンバス VPキャンバス |
自社の製品やサービスの付加価値がどこで生み出されているかが明確になっているか? | 製品サービスを生み出し、顧客に届ける工程のどこでどれだけの付加価値を生み出せているかを整理する | バリューチェーンモデル |
「どのような仕組みで利益に変えるのか」を明確にできているか? | マネタイズの仕組みを整理し、収益性が見込めるかどうかを分析する | ビジネスモデル図 バリューチェーンモデル |
顧客へ価値提供する流れ(商品やサービスを届けて使ってもらうまでのビジネスの流れ)は整理できているか? | 顧客価値提供する事業活動の流れを整理する | ビジネスモデル図 ビジネスプロセスマップ ロジックモデル |
事業構想を事業計画書として文書化できているか? | 事業計画書を作成する | 事業計画書 |
その事業をそもそもなぜやっているのか?事業を通じてどのような顧客提供価値を生み出し、どのように顧客に届け、どうやって利益を上げるのかを明確に定義できているでしょうか?
これらがあいまいな場合は、マーケティング戦略やマーケティング戦術に取り掛かる前に、事業構想そのものを練り直すところから始める必要があります。
マーケティングの一部を担うウェブ担当者としては、事業計画を練る部門とよくコミュニケーションをとり、ウェブマーケティングで推進すべき事業についてしっかりと理解をすることが肝要です。
マーケティングプロセス2:環境分析
≪確認点≫事業に影響する外部環境や競争環境は分析できているか?
事業構想が明確になっていることが確認できたら、次にチェックすべきはその事業に影響する外部環境の分析状況です。
「環境分析」での確認ポイントと使えるフレームワーク
確認ポイント | やるべきこと | 使えるフレームワーク |
---|---|---|
対象業界に影響を与える外的環境を政治、経済、社会、技術などの観点で分析できているか? | 事業に影響を及ぼすマクロ環境を分析する | PEST分析 |
市場規模、市場の成長性、顧客ニーズ、顧客の消費行動などは分析できているか? | 市場や顧客の観点で、事業に影響を及ぼすミクロ環境を分析する | 3C分析 5Force分析 ユーザーインタビュー |
競合他社の状況、代替品となるもの、業界内のポジション、今後想定される業界の変化などは分析できているか? | 競合の観点で、事業に影響を及ぼすミクロ環境を分析する | 3C分析 SWOT分析 5Force分析 |
事業や製品サービスの状況、現有資源、現有ビジネスとの親和性は分析できているか? | 自社の観点で、事業に影響を及ぼすミクロ環境を分析する | 3C分析 SWOT分析 7S分析 |
事業推進や、マーケティング活動の実行にあたって影響を及ぼす利害関係者は明確になっているか? | 利害関係者の関わりあいを整理し、協力者となるステークホルダーの強み弱みを考察して対応方針を練る | ステークホルダーマップ |
例えば政治・経済・社会・技術などの動向がその事業にどのように影響を及ぼしているでしょうか?商品やサービスとの競争環境はどのような状況でしょうか?
マクロな視点、ミクロな視点で環境分析が十分にできているかどうかを確認しましょう。
ウェブマーケティング担当者としては、ウェブ技術の動向やオンラインでの接点の変化が、事業に与える影響に着目してみることが大切です。
例えば、オンライン上の競合他社や競争環境は、従来のリアルでの競合環境とは必ずしも一致しないかもしれません。市場・競合・自社の観点から環境要因を分析することでマーケティング機会を発見しましょう。
マーケティングプロセス3:STP/顧客定義
≪確認点≫顧客を分類し、ターゲット層を決められているか?
外部環境分析ができていることが確認できたら、次は誰をターゲットにマーケティングをしていくのかを確認しましょう。
「顧客定義」での確認ポイントと使えるフレームワーク
確認ポイント | やるべきこと | 使えるフレームワーク |
---|---|---|
施策立案や実行の質を高めるうえで、有意義な顧客のセグメンテーション方法を定義できているか? | 顧客のセグメント軸(市場を細分化するにあたって用いる変数)を洗い出し、使用するセグメントを決める | STP |
ターゲットが明確に定まっているか?事業初期に顧客化が期待できる層(アーリーアダプターとなり得る層)の特徴はつかめているか? | 顧客セグメントをもとに、ターゲットを定める | STP |
ターゲット層の志向性や価値観、購買意思決定要因を考慮して、競合他社や代替品と照らし合わせた自社事業のポジショニングは整理できているか? | 競合他社や代替品と対比した自社のポジショニングを明確にする | STP |
ターゲット層の課題やニーズをふまえて、MVP(Minimum Viable Product:顧客に価値を提供できる最小限のプロダクト)は定義できているか? | マーケティング施策の着手にあたって必要最小限の製品サービスの範囲を取り決める |
外部環境分析の結果をふまえてSTP分析することで、自社が向かうべき方向を決め、マーケティングの基本戦略を策定することができます。
市場をどのように分け、どこをメインターゲットとし、そのなかでどのようなポジショニングをとるのか、それ次第でマーケティング施策の選択肢や訴求ポイントも変わってきます。
あるいは、「マイホームを持っているかどうか」という変数は、マーケティング施策を練るうえで最も有効な分類方法でしょうか?
一見するとターゲットを定められているようでも、実はあいまいな状態かもしれません。
マーケティングプロセス4:施策立案/施策選定
≪確認点≫顧客のニーズや課題を深く理解できているか?
ターゲットが決まったら、さらに深堀して顧客理解を進めていきます。ターゲットとして決めたセグメント(顧客層)のニーズやペインを深く理解すると、その顧客課題解決のためにどのようにアプローチしていくかのアイデアがたくさん出てきます。これまでに発案したアイデアが顧客ニーズに刺さる内容かどうかを冷静に見直すことにもつながります。
「施策立案/施策選定」での確認ポイントと使えるフレームワーク
確認ポイント | やるべきこと | 使えるフレームワーク |
---|---|---|
市場や競合の状況をふまえ、何を、いくらで、どのような流通経路で、どのようなプロモーション方法で顧客に届けるのかが整理できているか? | プロダクトアウト(企業視点)でマーケティング活動のマーケティング活動の実施方法を考える | 4P(製品の場合) 8P(サービスの場合) |
ターゲット層の具体的な統計学的属性、心理学的属性や、言動、ニーズやペインポイントなどを言語化し、事業関係者間で共通認識を持てているか? | 顧客像を可視化し、事業関係者で認識を合わせる | ペルソナ 共感マップ 検索需要調査 |
ターゲット層が商品やサービスとのかかわりのなかでたどる一連の接点や意思決定プロセスは整理できているか? | カスタマージャーニーマップで、顧客の行動の流れや感情の変化を俯瞰して考察することで、それぞれのステージでの顧客体験を高めるための課題と対策を考える | カスタマージャーニーマップ 顧客接点チャネルマップ AIDMA |
顧客が商品を購入するまでのプロセスに沿って、施策が影響を及ぼす箇所を特定できているか? | 自社商材のファネル構造と照らし合わせて、マーケティング施策の影響範囲を整理する | マーケティングファネル |
各施策がどのようなものがアウトプットされどのようなアウトカム(効果)につながるのかを整理できているか? | 各施策のアウトプットとアウトカムの関係性を整理する | ロジックモデル |
洗い出した施策案について、重要度や緊急度などを考慮して、優先順位づけやリソース配分ができているか? | 洗い出した施策案の優先順位づけ、リソース配分をおこなう | 重要度・緊急度マトリクス 4YA |
顧客のニーズやベインポイントは何なのか?、顧客はその課題解決のために何をしているのか?、それに応じた自社ソリューションとのタッチポイントとしては何が有効なのか?などを、ペルソナやカスタマージャーニーマップなどを作成して具体的に整理しましょう。
マーケティングプロセス5:具体的施策実行
≪確認点≫取り組むマーケティング施策が具体的に決まり、着手できているか?
ここまでができて、ようやく具体的施策内容の妥当性がチェックできる状態となります。
「施策実行」での確認ポイントと使えるフレームワーク
確認ポイント | やるべきこと | 使えるフレームワーク |
---|---|---|
実施することになった施策について、具体的な要件や前提条件は整理したうえで着手できているか? | 施策ごとの実施要件をまとめる | 施策実行計画シート |
マーケティング施策実行にあたって必要なデータや実行後次の施策のために取得したいデータが整理できているか? | データ取得設計、データ活用設計をおこなう | ロジックツリー |
ウェブサイト、アプリ、紙などの顧客接点となる媒体のUXやUIを顧客視点で設計できているか? | UXやUIが適切かどうかを見直す | ペーパープロトタイピング |
各施策に対して、実行後に適正な評価や改善判断の指標となる目標値を定められているか? | 具体的か、計測可能か、達成可能か、関連性があるか、期限があるかの観点で目標を設定する | SMART |
こういった具体的施策がここまでで挙げてきたマーケティングプロセスに沿って戦略的に実行できているかどうかを改めて見直してみましょう。
外部環境分析やターゲット設定、顧客理解があいまいなまま、先に手段を考えてしまっていないかに要注意です。
マーケティングプロセス6:効果検証/振り返り
≪確認点≫実行したマーケティング施策の効果検証や振り返りをおこなえているか?
いよいよ最後のチェックポイントは、「PDCA」が回っているかどうかです。
「効果検証/振り返り」での確認ポイントと使えるフレームワーク
確認ポイント | やるべきこと | 使えるフレームワーク |
---|---|---|
作成した顧客接点となる媒体が設計意図に沿って実際に利用されているか検証ができているか? | 市場投入した作成物(もしくは市場投入前の試作)の実際の利用状況を検証する | ユーザーテスト(ユーザビリティテスト) ユーザーアンケート |
施策実行後の検証評価方法や改善策の検討フローは取り決められているか? | 効果検証や改善検討をおこなう業務フローを取り決める | PDCA |
マーケティング活動について、定期的に関係者で振り返りの場を設けられているか? | 振り返りミーティングの実施方法を決め、実施する | KPT YWT Fun/Done/Learn |
実施内容の効果検証をおこない、より上位プロセスにフィードバックできることがないか、一連のマーケティングプロセスをチームメンバーで振り返ってみましょう。
マーケティングの現場でよくある落とし穴
以上のように、Yes/Noチャート図形式で、マーケティングプロセスの基本的流れと確認ポイントをご紹介しました。
最後に、実際にこのプロセスを進めるなかで陥りやすい失敗事例をYes/Noチャート図の流れと照らし合わせてご紹介します。皆さんが担当しているマーケティング活動の状況把握や見直しに役立てばうれしいです。
失敗1
A(事業構想)の前提条件や制約条件を、経営部門から当該事業部門にちゃんと伝えないまま役割を引き渡した結果、マーケティング戦略以降の活動が事業の前提条件から次第に外れていってしまう。
失敗2
B~D(環境分析や顧客定義、それに基づく施策立案)がないままE(個別の施策)ばかりおこなってしまっている。また、そのような状況下でE(施策実行)とF(効果検証)を繰り返してしているため、PDCAの働きをなしていない。
失敗3
マネジャー層(マーケティング戦略を練るべき担当者)にきくと「B(環境分析)やC(顧客定義)をやった」といっているが、客観的にその内容を評価すると「やったとはとても言えない」レベルのアウトプットしかされていない。それにも関わらず、マネジャー層が部下(施策実行担当者)に仕事と責任を丸投げてしまっている。
失敗4
E(マーケティング施策の実行)だけがマーケティングだと思っている。
- 編集長
- 谷川 雄亮
この記事の監修者
CMOとしてウェブマーケティングの大規模プロジェクトを伴走しています。その経験をもとに、ウェブ担当者としての仕事を体系化した「ウェブマネジメント講座」開発し、講師をしています。実務担当者から経営層まで、100社以上の企業に受講いただきました。ウェブマネジメント・アカデミーでは、みなさまが抱えている課題を一緒に解決できるようにサポートします。
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