プロジェクトを成功させるWebディレクターとは? ディレクションスキルが高い人が気を付けている5つのこと
Webディレクターといっても、広報系Webディレクター、営業系Webディレクター、デザイン系Webディレクター...など、実際の仕事領域はかなり幅広く多様です。
しかし、どの領域でも、ディレクションスキルが高い人とそうでない人が存在します。その差は何なのでしょうか?
今回は、プロジェクトを成功に導くWebディレクターが持っている5つのポイントをお伝えします。
Webディレクターとはどんな存在か
WebディレクターとはWebサイト構築現場において交通整理をする役割の人です。
Webデザイナーである私の立場からすると、制作指示を出す人というような認識です。
例えば、サイトリニューアル時には、リニューアルプロジェクト全体の指揮をとる役割を担っていますね。
ディレクションスキルが高いWebディレクターが取りまとめるプロジェクトは、おおむねスムーズに進行しますし、何かトラブルが発生してもすぐに軌道修正されるため、大きなトラブルにつながることはほとんどありません。
Webディレクターの立ち振る舞いによって、プロジェクトそのものの成否が決まるといっても過言ではないくらい、重要な役割を担っているのです。
プロジェクトを成功させるWebディレクターが気を付けている5つのこととは
1.常に的確な指示出しを心がける
例えばWebサイトリニューアルのデザイン制作に入る前「要件定義」「構造設計」フェーズを考えてみましょう。Webサイト構築に必要な事項が明確にされていないプロジェクトでは、デザイン制作に不可欠な情報も曖昧になりがちです。原稿や素材が不足しがちな傾向もよくあることです。
このような状況で、以下のような指示を耳にすることも多いかと思います。
- 高級感を出しつつ目立たせて。
- 若い人向けの今っぽい感じで!
- デザイナーがいいと思う感じで提案してみて!!
これらはWebデザイナーに指示を出しているようであまり伝わっていない状態ですが、どこがいけないのでしょうか。
答えはシンプルで、指示が曖昧だからです。
「高級感」や「今っぽい感じ」などの主観的な言葉は受け取る人によって解釈にかなり振れ幅があります。
せっかく貴重なリソースを割いて制作するのですから、Webサイト本来の目的に沿う的確な制作指示を出し、長く機能するWebサイト構築を目指しましょう。
解決策:構築するWebサイトの5W1Hは明確にしましょう
- When:いつ(スケジュール)
- Where:どこで(ターゲットエリア)
- Who:だれに(ターゲットペルソナ)
- What:何を(商品の特徴、特性)
- Why:なぜ(Webサイトの目的、背景)
- How:どのように(制作手段、手法、ツールなど)
解決策:参考サイト、競合サイト、イメージを用意しましょう
参考サイトやイメージを共有し、どの部分を参考にしたいか要素を分解して説明すると、デザイナーの理解もより深まります。
例えば、「見出しには、このWebサイトのイタリック文字みたいなのが勢いを感じられて良さそう」「この会議写真のような賑やかな雰囲気のイメージをファーストビューで入れてほしい」などのような指示出しをすると、選んだ理由や目指す方向性まで伝わるのでいいでしょう。
2.指示書や仕様書で要求事項を残しておく
デザイン制作工程で修正や更新を繰り返していると、当初の設計とズレて、いつの間にか仕様から大きく離れたWebページができあがってしまったということはよく聞く話です。
仕様や設計からズレたまま制作が進行すると、ズレを正すための後戻り作業で追加コストが発生します。
また途中の仕様変更で発生しがちな口頭指示は、聞き漏れがあったり、プロジェクトメンバーに共有しにくかったりと、問題が生まれる可能性があります。
解決策:仕様書、指示書を作成することで共通認識を作りましょう
Webサイトの仕様、設計、指示は文書化してプロジェクトメンバー間に「共通認識」を作る必要があります。
「共通認識」を明確に文書化することで、各作業工程の受け渡しや修正を繰り返す過程で発生しがちな認識のズレを防げます。
解決策:変更が発生した場合には、仕様書、指示書に戻って再文書化しましょう
変更部分は仕様書や指示書に随時反映させていきましょう。変更したものは一箇所にまとめて文書化しておくと、内容を明確にしズレを防ぐことにもつながります。
3.プロジェクトメンバーのスキルを把握する
Webサイト制作における実務作業者は、主にデザイナー、エンジニア、プログラマ、ライター、イラストレーターなど、専門職といわれる人たちです。いわば各技術のプロ集団です。しかし実際、対応できる領域は人によってかなり多様です。(例えば、デザイナーのAさんはBtoBが得意、BtoCは苦手など)
組織の便宜上、実際のスキルとはずいぶん離れた肩書きになっている人もしばし見受けます。
当たり前の話ですが、メンバーそれぞれの得意な領域と、依頼されるタスクが合致していれば、各人の持っている強み、モチベーションが無理なく引き出せます。そうなると、プロジェクトのゴールであるアウトプットの質も上がります。
逆に、本人にとって不得手で難しすぎるタスクの場合、個人のモチベーションは下がりやすく、結果アウトプットの質も下がると予想できます。
解決策:Webディレクターは、メンバーの「苦手なこと」をおおよそ把握しておきましょう
メンバー全員に、それぞれの得意なタスクを割り充てることができれば理想ですが、実際のところリソースは有限なので難しいことでしょう。
しかし「苦手なことはできるだけ割り充てない」という方針なら最適に近いタスクを振り分けることができるのではないでしょうか。
会議や打ち合わせ中に「これはやりたくない」というようなネガティブ発言は(よほど自分に自信がある人でない限り)なかなかできないものです。
ディレクターとしてのスキルが高いといわれる人ほどそのような雰囲気を察することができたり、日頃の雑談からメンバーの考えや近況をさりげなくヒアリングしたりしています。
チーム内のコミュニケーションの質を上げ、メンバー各自の強みを活かすチーム体制を作ることが、プロジェクト成功への足がかりとなりそうです。
4.余裕をもったスケジュールを組む
余裕がないプロジェクトは、何かしらのトラブルを引き起こし、成功とよべるものから静かに遠ざかります。可能な限り、スケジュールには余裕をもたせたいものです。
解決策:必ず、各担当者にスケジュール感の確認しましょう
各工程にどのくらいの工数が必要か不明なままスケジュールを組むのは厳禁です。
各工程の担当者に直接スケジュール感を確認し、相談のうえ作成するとよいでしょう。
また何らかの理由でスケジュール通りに進行していない場合は、そのつど組み立て直し、調整しましょう。
解決策:できるだけ担当者の意向を聞き出しましょう
スケジュールの指示出しをするときにも、ディレクターからの一方的な依頼ではプロジェクトは成り立ちません。
例えば、「今日中にラフ欲しいな。サクっとでいいから!」という依頼より「今の説明を整理する時間が少し要るよね?デザイン制作に取り掛かるのは数日おいて来週からにしよう。いつならいけそう?」と、相談しながら進めてもらえる方がいいですよね。 依頼の方法も一工夫です。
5.同じことを繰り返さないよう、うまくいかなかった原因ははっきりさせる
プロジェクトが完了したと思ったら、もう次のプロジェクトに突入している…。多忙なWebサイト構築現場ではよくある光景です。
プロジェクト完了後はメンバーそれぞれの視点からの反省、課題が浮かび上がってきています。それら問題を洗い出し、共有して、次回からのプロジェクトに活かすようにしましょう。
解決策:プロジェクト完了後には反省会の時間を設けましょう
良い部分もよくなかった部分も含め、プロジェクトメンバーで振り返りをおこなうことは、次のプロジェクトの質を高めることにもつながります。
ウェブサイト運営だけでなく、さまざまなプロジェクトや社内業務の振り返りと次につなげる活動方針決めに効果がある「KPTワークショップ」は、社内メンバーで進めることができますし、チーム全体で振り返ることを習慣づけていきたいときにおすすめです。(あやとりのサイト移動します)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
プロジェクトを成功に導くことができるWebディレクターには、質の高いコミュニケーション力が必要になってきます。
メンバーから意見をくみ取り、それをうまくプロジェクトに活かせるような関係性を構築していける力です。
だれしも経験を重ねることで質を高めています。ぜひ、みなさんもプロジェクトを成功へ導くWebディレクターになれるように、プロジェクトメンバーとのコミュニケーションを大切にしてください。Webディレクターとして必要な知識は、きっとあとからついてくるはずです。
- 株式会社あやとり
企画制作部 - 中津川 実鈴
この記事の監修者
デザイン会社、ウェブマーケティング会社、インハウスでのデザイナー経験を経て、2021年あやとりに入社。 幅広いウェブサイト構築現場の実務経験を活かし、現在はクライアントの新規・既存ウェブページ制作、運用業務を主として担当。
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