事業パートナー募集フォームを作ろう ~新たなパートナーとの出会い~

 2024.04.12 2024.04.17

いつの時代においても、ビジネスを拡大することは容易ではありません。しかし、自社に足りないノウハウや経験、リソースを補完してくれる良い事業パートナーがいれば、新たな市場や顧客層にアクセスできるようになり、もっと効率的に事業を展開することが可能になります。

そんな事業パートナーとの出会いはさまざまです。もともとの人脈かもしれませんし、展示会のような場もあるでしょう。しかし、これらの人との出会いは偶然に頼る部分も大きく、限界もあります。東京や大阪のような大都市ならば、その機会も多いかもしれませんが、地方では限られてしまいます。また、大都市であっても、常に必要な出会いがあるわけではありません。

この偶然の要素を少しでも減らそうと、集客や採用ではインターネットの活用が進んでいます。同様に事業パートナーとの出会いもインターネットを活用し、地理的な制約を超え効率化することができます。そのための第一歩として、まずは、自社サイトに事業パートナー募集のフォームを設置してみましょう。この記事では、フォームを設置するメリットや、良いパートナーに出会う工夫などを紹介します。

目次

    事業パートナー募集フォームの設置の利点

    多様なパートナーとの出会い

    インターネットの特性から、リアルな交流よりも広範なパートナーとの出会いが期待されます。地理的に広いという意味だけでなく、より縁遠い業界との知り合う可能性を高めます。このことは、より多くのアイデアや解決策をもたらす可能性があることを意味します。

    もしそのような出会いがあれば、全く新しいアイデアや戦略を導入する可能性が高まり、企業の競争力が向上することが期待されます。

    遠隔でも仕事のできるパートナーとの出会い

    物理的な距離や、常識の異なる業界のパートナーと仕事をすすめるためには、筋道をたてた文書を作成する能力が欠かせません。対面で知り合った相手の場合、実際に遠隔で仕事をすすめようとしたときに、時としてこの能力を欠いていることがあります。そのような相手との協業では、スピードに欠け、貴重なビジネスチャンスを逃すこともあります。

    事業パートナー募集フォームへ応募できるということは、それだけで、応募条件を理解し、求めていることに対する回答策を的確に文書化できることを示しています。

    パートナーを募集する必要性が社内で理解される

    事業パートナー募集フォームを設置することには、自社が必要とする事業要素の不足を明確化する必要があります。そもそもとして、事業パートナーとの出会いが必要だという認識が生まれること自体が、会社の未来像を深く考える機会ともなります。

    どんな相手を募集したいかということを考えることを通して、会社が解決するべき課題が明確化され、問題解決のためのさまざまなアイデアや知恵が社内や既存の関係者からもたらされる期待が生まれます。

    良い事業パートナーと出会うための工夫

    このように事業パートナー募集フォームを設置するメリットは明らかです。それをより機能させるために、より良い応募があるようにするための工夫を紹介します。

    ① 応募の歓迎

    募集フォームには、まずは関心を持ってくれたことへの感謝の気持ちを表すとともに、応募を歓迎することメッセージを添えることが重要です。誰でも公平に審査することを明記するとともに、実際にパートナーとなった場合には両者ともに利益を享受できることを確約しましょう。

    ② 取り組みたいテーマの提示

    なんのために新たな事業パートナーを探しているかを明示することは大切です。

    「自社の保有している技術を活用したい(活用できるパートナーを探している)」「もっと生産性を引き上げたい(引き上げられるパートナーを探している)」「新たな市場開拓に取り組みたい(開拓できるノウハウを持っているパートナーを探している)」のような事例が考えられます。

    社外秘であまり詳しく記載できない事柄もあるかもしれませんが、可能な範囲でなるべく詳しい要望を記載することでより適切なパートナーからの応募が期待できます。

    ③ 相互にどんなメリットが得られるかを尋ねる

    パートナーという関係を目指す以上、どちらかが一方的に得をする関係にならないことを理解してもらう必要があります。その意識をもってもらうためには、互いに得られるであろうメリットの予想について、応募者の考えを言及してもらうことが効果的です。

    応募者は、この協業からどんな成果が期待できると考えているのかを、自身の強みや特長などと共に説明してもらえるような質問を設置しましょう。

    ④応募条件の明確化

    もし、企業規模、実績、保有する技術や設備など、事業パートナーに求めている条件があるのならば明記しましょう。 明記することはマッチング上の齟齬を減らします。ただし、あまり条件を厳しくしすぎると、応募が少なくなる可能性があります。

    多様なパートナーとの出会いを求める場合は、初めは条件を緩めに設定し、適切でない応募が多ければ、条件を厳しくするという方針が良いかもしれません。

    ⑤ 応募後の流れの提示

    応募をした場合、どのように審査がおこなわれるのか、何日程度で審査結果が伝えられるのか、マッチングが不成立になっても審査結果が伝えられるのか(あるいは伝えられないのか)などの情報を提示しましょう。

    また、成立したあとの流れも簡単に紹介すると応募のモチベーションがあがります。

    トラブルを避ける工夫

    他者から応募をいただく以上、配慮すべきことがあります。配慮が足りなければトラブルになってしまうおそれもあります。そのための工夫例も紹介します。

    ① 個人情報の保護

    応募フォームに、担当者名など個人情報保護対象となる項目があるのならば、他の問い合わせ同様に、自社で定めた個人情報保護方針を提示することは重要です。個人情報保護方針に同意した旨のチェックボックスなどを設け、同意がない限り応募できないようにする必要があります。

    ② 知的財産に関する情報を入力させない

    応募フォームの中に非公開の特許や著作権などの知的財産を含めさせないように要求することは重要です。

    条件が合わないと断った応募フォームの投稿内容に知的財産に関する情報が書かれていると、のちに面倒なことになる場合があります。

    例えば、御社が応募を断った数年後(場合によっては十数年後)に何か製品やサービスの販売を開始したとします。もしその応募フォームの投稿内容にその販売物のヒントになったかのようなことが書かれていて、その販売の事実を応募者が気づくと、応募者からアイデアを窃盗したと訴えられかねません。相手が応募を断られたことを逆恨みしていたりすると、深刻なトラブルになる可能性があります。

    これについても、個人情報の保護同様に、提案の中に知的財産が含まれていないことを確認した旨のチェックボックスなどを設け、チェックがついていない限り応募できないようにする必要があります。

    ③ 契約書の整備

    期待できるパートナーと出会えたのならば、早く協業事業をすすめたくなるのは人情です。しかし、パートナーである以上、成功したときの利益、失敗したときの損失のいずれもを共有する必要があります。

    契約書は、最初の友好的なときにキチンと交わしておきましょう。何かが起きてからでは手遅れです。利益は独り占め、損失は相手に押し付けたくなる。これもまた人情です。

    ④ 迷惑売り込みを避ける

    募集フォームを設置すると、迷惑な売り込みが来る場合があります。

    売り込み禁止を明記し、真剣なパートナーのみが応募するようにすることが重要です。前述した「相互にどんなメリットが得られるか」の質問を必須回答にするなど、相手の真剣さを問う工夫が必要です。

    まとめ

    事業パートナー募集フォームの設置は、会社が成長を促進し、新たな事業パートナーとの出会いを求める重要な意思表示です。良いパートナーとの出会いは、競争力を高めるための重要な一歩です。

    しかしながら、応募者への配慮やトラブル回避の工夫も同様に重要です。これらの対策が効果を発揮すれば、企業は外部からの知見を取り入れ、新たな成長の機会を開拓していくことができます。

    株式会社あやとり
    研究開発/品質向上部
    北條 光彦

    この記事の監修者

    大学院で情報工学を研究後、前職のグローバル電子機器メーカーで品質保証に従事。ISO9001審査員補資格も保有する品質保証のスペシャリスト。また日本語教師養成講座420時間コース(文化庁届出受理講座)も修了している。

    この記事を読んだ方におすすめ

    【PR】