多言語展開のWebサイト構築で基準となる言語の考え方とは
昨今の経済のグローバル化、ボーダレス化にともない、多言語対応のサイト構築に取り組む日本企業が増えています。多言語サイトはどのように構築したらいいのでしょうか? 今回は、多言語展開をともなうWebサイト構築のときに考えたい点を取り上げます。
Webサイトの多言語対応で考えられる2つの方法
多言語でのWebサイト制作をおこなう場合、2つの方法が考えられます。
- 言語ごと異なるサイトをつくる
- 基準となるサイトを作成し、それを翻訳して展開する
かつては前者の方法で制作していたこともありましたが、冒頭でも述べたように、経済のグローバル化などにともなって、後者の方法を取り入れる企業が増えています。
後者の方法で取り組む場合には、まず基準となるサイトの言語を決める必要があります。
この「基準となる言語を何にするか」は実は難しい問題です。
多言語サイト構築時に作成する「基準となるサイト」の言語は何にするのか?
「基準となるサイトを作成し、それを翻訳する」という方法で多言語サイトを構築する場合、日本企業であれば日本語を選ぶのは自然な流れでしょう。
しかし、各国語に翻訳されることを考えると、国際語である英語を基準にするほうがスムーズである場合が多くあります。
基準となるサイトのコンテンツを英語で制作する「英語ファースト」を基本姿勢にしたほうが、翻訳コストを抑えることに結びついたり、各国の担当者間のコミュニケーションを容易にしたりするのです。
基準となるサイトの言語を英語にすることのメリット
Webサイトでの表現にはローコンテクストが適している
英語ファーストのメリットとして、英語をはじめとする欧米言語(あるいは欧米文化)が「ローコンテクスト」である点も上げられるかもしれません。
ローコンテクスト文化は、言語による意思伝達に対する依存の強い文化をいいます。
一方、日本の文化は「空気を読む」ことや「状況を察する」ことが重視されることから、ハイコンテクスト文化であるといわれます。「ハイコンテクスト」とは文化人類学者のE・H・ホールの理論における文化の区分の一つで、「以心伝心」で意思伝達がおこなわれる傾向が強い文化のことです。(詳細は「ハイコンテクスト文化 - 日本語表現辞典 Weblio辞書」をご覧ください)
文字だけで情報を伝えることの多いWebサイトでは、日本語の「ハイコンテクスト」な記述では読み手の理解を促せない場合があります。背景の文化の異なる言語への翻訳も容易ではありません。
このように、コンテクストの観点から、明示的で直接的な表現が好まれる英語を基準としたほうが、多言語に展開しやすいと言えます。
WebサイトのURLを構成するディレクトリの基準にもなる
各言語でサイトを制作してから多言語展開する方法をとったとしても、ディレクトリ名は共通の文字列にすることはよくあることです。
ディレクトリ名には英数字を使うのが一般的であるため、国際語として認知されている英語でのディレクトリ名を用いることが多くなります。
このとき、例えば基準となるサイトのコンテンツが日本語の場合、気づかないうちに和製英語が使われてしまうというケースがあります。
「メールマガジンの紹介をするディレクトリ」を
/mail-magazine/
にしてしまうということです。
mail magazineは和製英語です。
英語ではnewsletterですので、ディレクトリ名は
/newsletter/
が望ましいでしょう。
設計してしまったディレクトリ構造を、あとから変更するのは難しいことで、結果的に、このような恥ずかしい表現が残ってしまう場合があります。
つねに英語を基準とし、多言語展開することを考えると、このような失敗は防げるでしょう。
まとめ
日本企業が「英語ファースト」を実践するためには、それなりのスキルを持った人員を確保しなければなりませんし、コストもかかります。現実的には難しいかもしれませんが、英語ファーストを意識した対応をすることは大切です。
日本企業が日本語を基準としてWebサイトを制作し、それをもとに多言語展開を考えている場合は、以下のような配慮をすることで品質の高い多言語サイトを構築することにつながると言えます。
- ディレクトリ名やファイル名の規則づけが必要なサイトの構造設計においては、正しい英語を用いて設計する
- ローコンテクストな表現の日本語コンテンツをもとに、多言語で展開していくためのベースとなる高品質な英語コンテンツを用意する
この記事がWebサイト制作における多言語展開の基準を考えるヒントになれば幸いです。
- 株式会社あやとり
マーケティング部 - 鈴木 英美
この記事の監修者
ウェブマネジメント・アカデミー立ち上げメンバーの一人です。コンテンツ作成やメルマガ関係、インサイドセールス分野に携わりながら、このサイトのウェブ担当者として、幅広く勉強しています。
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