Webサイトのターゲットの決め方~ターゲット設定が重要な理由と設定方法とは?~
多くの組織で起こりがちな課題に、ペルソナが定まりきれていない、事業部門によってターゲットが少しずつ異なっている、ということがあります。この部分があいまいになっていしまっていると、Webサイトの目的もあいまいになってしまいます。
ターゲットをはっきりさせ、「自社の顧客は誰か」を明確にするところからWebサイトのありかたを考えてみましょう。
「顧客は誰か」を明確にしなければならない理由
「顧客になってほしい企業や人に、実際に自社の顧客となってもらう。」
当たり前のことですが、御社のサイトではこれが実現できているでしょうか。
そして実際に事業の成果につながるように顧客化できているでしょうか。
ターゲット層ではない人たちの訪問が多い場合でも「自社の顧客が誰か」が明確に定まっていれば、「顧客としたい層ではない人たちに刺さるような活動になってしまっているかもしれない」と、活動の見直しをかけることにつながります。
そのため、まず「顧客としていきたい層=ターゲット」を明確に定めることから考える必要があります。
では、どのようにして「顧客は誰か」を深堀りしていくのでしょうか。ここからWebサイトにおける顧客を深堀するためのステップを4つにわけて解説していきます。
Step1.サイトの目的をはっきりさせることで「顧客は誰か」を深掘りする
御社の現在のWebサイトは、どのような目的で運営されていますか?
いろんなパターンが考えられますが、よくあるものを並べただけでもこれだけあります。
20年、30年前は単純に総務の情報発信のためのサイト、会社の焼き直しという位置づけにあったWebサイトが、DXやデジタルマーケティングという活動が活発になってきたことにより、現在ではどんどん展開されています。
これだけ目的が多岐にわたってくると、社内でもかかわる部署も増えてきます。
同時に、想定しておくべき閲覧者や利用目的もどんどん広がっていきます。
社内での活用方法や想定されるユーザーニーズのバランスをはっきりしないまま、ある一部分だけに目を向けてサイトの目的を決めてしまったらどうなるでしょうか。
例えば、社員教育のためにサイトを活用することばかり重視して、サイト全体を作り変えようとするとします。スタートとしてはもしかしたらいいかもしれませんが、その他の目的(例えば、営業支援や顧客サポートなど)とのバランスがいびつになることも考えられます。
Webサイトの目的はどんなものが考えられるのかを整理し、明文化した上で、その運営に少しでもかかわっているような業務をしている方々と、サイトの重みづけや役割分担、ベクトル合わせをしておくことが最初のステップとしては必要になります。
Step2.サイトのターゲットを決める
サイトのターゲット決めには、STPマーケティング手法を取り入れることが有効です。
S:セグメンテーション
T:ターゲティング
P:ポジショニング
STPについては「6つのマーケティングプロセスYes/Noチャートでチェック!」でも紹介しています。
Webサイトのターゲットを決めるには、まずは「S:セグメンテーション」で市場や顧客ニーズの分類をどうするかから考えます。
STPの「S(セグメンテーション)」を考えるヒント
セグメント案を練るときのヒントにしたいものに、アクセス解析ツールのセグメント機能があります。
サイト全体のすべてのデータをみるだけでは、具体的な施策や改善活動につなげられない場合が多いのですが、セグメント機能で分類することで得られる結果があります。
セグメントを活用しながらターゲットを選定する視点
例を挙げてみましょう。
属性 | (BtoCの場合)年齢、職業、居住地など (BtoBの場合)年商、上場区分、業種など |
悩みやニーズ | 当該セグメントの顧客が抱えている課題やニーズが 自社の商品やサービスの提供価値とマッチしているかどうか |
価値観 | 「当該セグメントの顧客が大切にしているもの・考え」が 「自社が大切にしているもの・考え」とマッチしているかどうか |
これらを掛け合わせ、セグメントを決めていきます。
このとき、現時点では顧客にできていない人たちでも、5年後10年後に顧客化していく必要があるのであれば、今後どうするべきかも考慮してセグメントを練ると、より顧客を深堀りすることにつながります。
Step3.ターゲットの課題やニーズを深掘りする
ここでは3つの考え方をご紹介します。すべてを考慮するのが難しい場合は、まずはどれかひとつからでも意識できるといいでしょう。
ペルソナ
顧客になってもらいたい具体的な人物像を描いていく手法です。
ペルソナに関しては「ペルソナとは?マーケティングに活用するための作り方とコツ 」で詳しく解説していますので、ご覧ください。
共感マップ
ペルソナを掘り下げていく、あるいは具体的にどんなことを書こうかを考えるときにアイデアを広げていく上で有効な手法です。
「予算が通る!Webサイトリニューアル企画書の構成と作成のコツ」コラムのなかでも紹介していますが、対象とする人が、何を見聞きし、そこから何を感じたり考えたりしているのかを整理するものです。
顧客視点で考えることに優れています。
検索需要調査
ピラミッド型の3つで考えてみましょう。
上が「指名買い」、真ん中が「顕在ニーズ」、そして下が「潜在ニーズ」になります。
指名買い | 社名や商品名、サービス名など、固有名詞で検索されること。 有名なものであればいいが、認知が低いものであればそもそも指名で検索される数は少ない。 |
顕在ニーズ | 自社で扱っている商材の領域に対しては検索をかけている、具体化している状態。 ただし、競合他社も含まれているので、どのように自社に引き付けるかが課題。 |
潜在ニーズ | 自社の商材事業の領域に関することが具体的にまだ描かれていない状態。 大きな課題やニーズに対して、自社商材が手段として最適であるということに どう気づいてもらえるか、どのようにその人たちと接点を持つかを検討する必要がある。 |
それぞれの段階でのキーワードを意識し、どういったターゲットを狙っていくのか、
自分たちがターゲットとしている人たちはどのようなキーワードで自分たちの課題解決をしようとしているのか…。
検索需要調査をしてみることで、必要なコンテンツ案やプロモーション方法など、施策の具体化につながることもありますよ。
Step4.顧客接点のストーリーを設計する
サイトの目的やターゲット像が絞れたら、ここまでの流れをターゲットの行動に寄り添うかたちでストーリーとして表してみます。
ユーザー行動シナリオ
ターゲットとした方々が最初はどんなことに悩んでいたりどんな状況にいたりするのか、そこからどのように情報収集したり課題解決のための取り組みをしたりするのかを可視化します。
左から右にストーリーを作っていきながら、最終的に最後は自社の商材やサービスによってターゲットが課題解決にいたるゴールまでを整理します。
どのタイミングでどんなキーワードで探しているのか、次へステップアップするには何が必要かを考えると、定めたターゲットの状態にもとづいてやるべき施策が見えてきます。
中にはWebサイトでできること以外の施策があるかもしれません。
STPの「P(ポジショニング)」を決める
ユーザー行動シナリオでターゲットとした方々は、御社のサイトや商品だけを見ているのではありません。競合と比較されている中でも御社の方がより良い、適任だと思ってもらえるようにどうやって差別化するか、立ち位置を決めていくかが重要です。
そのためには、STPの最後の「P」ポジショニングを決めることが重要です。
ターゲット顧客にとっての価値を考えてみてください。
例えば御社が部品や製品を提供しているのだとしたら、どこが価値だと感じられているのでしょうか。提供している部品そのものが価値と感じられているのでしょうか。それともアフターサポート体制がしっかりしていることが顧客にとっての価値でしょうか。もしくは技術的なところに対しても一緒に考えて試作開発をしてくれるサービス力でしょうか…。
さまざまな部分に付加価値を感じていて、それによって選ばれているといえるでしょう。
このように、ターゲットの行動と、自社のポジションを明確にし、それぞれを組み合わせることで、顧客との接点のストーリーを考えましょう。
まとめ
ここまでの4つのステップで、Webサイトにおけるターゲットの決め方を紹介しましたが、そもそも「Webサイトはいろいろな解決策ある中での手段の一つ」です。
Webサイトを作ることが目的ではないはずです。そしてWebサイトで情報発信をするだけで何か世の中に価値を生み出すわけでもありません。
大切なことは、事業戦略として顧客は誰だということを定義し、その人たちが抱えている課題やニーズを考え、それらを満たせるものを世の中に投入して使ってもらうこと。これが誰しもが事業をしている理由だと思います。
Webサイトでできることとあわせて、Webサイト以外でできることに関しては、それらが具体的に扱えるしかるべき部門や部署の方たちと、ぜひ連携しながら一緒になって活動を進めてください。そのためのツールの一つとしてWebサイトはどう使えるのかを考えてみると、Webサイトの可能性がいまよりも広がるのではないでしょうか。
- 株式会社あやとり
マーケティング部 - 鈴木 英美
この記事の監修者
ウェブマネジメント・アカデミー立ち上げメンバーの一人です。コンテンツ作成やメルマガ関係、インサイドセールス分野に携わりながら、このサイトのウェブ担当者として、幅広く勉強しています。
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