リスティング広告インハウス化をおすすめする理由
ここ最近、ウェブマーケティングに関するノウハウが、インターネットや本で情報収集しやすくなりました。その結果「ウェブマーケティングの業務を外注するのではなく、自社でおこなってみたい」という、いわゆる「インハウス化」について相談される機会が多くなってきました。 そこで、本記事ではリスティング広告(Google検索広告)を自社運用するための基礎知識や重要なポイントを初心者の方にもわかりやすくご紹介します。
1.【基礎知識】リスティング広告とは?ディスプレイ広告やSEOとの違いを丁寧に解説!
リスティング広告とは
リスティング広告とは、検索エンジンの検索結果画面に表示されるテキスト広告を指します。リスティング広告を出稿することを、一般的に「リスティング広告を掲載する」「リスティングを打つ」といいます。
リスティング広告とディスプレイ広告の違い
リスティング広告と合わせて「ディスプレイ広告」という言葉もよく耳にすると思います。2つの違いは「表示させる広告の種類」と「広告を掲載する場所」です。
リスティング広告はテキスト広告(文字の広告)で、各検索エンジンの検索結果ページに表示されます。広告を出稿するためには「キーワードをオークションで買う」ことが必要です。そのため、企画・設計では「どのようなキーワードで検索された時に、どのようなテキストを掲載するか」という観点で検討します。
一方でディスプレイ広告はバナー広告(画像の広告)です。広告の掲載場所は各媒体が提携しているサイトの広告枠です。提携サイトを閲覧しているユーザーに対し、視覚的に商品・サービスをアピールできます。そのため企画・設計では「どのような提携サイトに、どのようなバナーを掲載するか」という観点で検討します。
リスティング広告とSEOの違い
「検索エンジンの検索結果一覧に表示される」という点では、リスティング広告もSEOも同じですが、両者のいちばんの違いは、リスティング広告は「有料」で表示させ、SEOは「無料」で表示されるということです。また表示結果をコントロールできる自由度も大きく違います。
リスティング広告は有料で出稿しているということもあり、表示内容や表示条件のコントロールがしやすくなっています。例えば「地域」「年齢」「性別」など、広告を出したいユーザー属性に限定できます。さらに特定のキーワードで検索された時は広告を表示させないということもできます。
一方SEOはGoogleのアルゴリズムに依存するため、表示内容のコントロールが難しく、表示条件は指定できません。
リスティング広告を出稿できる媒体
リスティング広告を出稿する媒体は複数ありますが、ここでは代表的な2つの媒体を紹介します。
①Google広告
現在、検索エンジン利用者数が最も多いのが「Google」です。Google広告のアカウントを開設することで、誰でもリスティング広告を出稿することができます。
Google検索はもちろん、YouTubeやGmailなど、Googleの傘下に入っている媒体にも広告を出稿する機能を持っているため、それらの利用者数を考えるとリーチ力の高さは圧倒的です。
また、最新機能も次々にアップデートされますので、後述のYahoo!広告よりも操作性が優れています。
②Yahoo広告
Google広告と同様、Yahoo広告専用アカウントを開設することで、誰でもYahooに広告出稿を開始できます。
基本的な機能や考え方はGoogle広告と同じです。ただ、機能性や操作性ではGoogleに劣る面があります。
例えばYahooは一度広告文や最終リンクURLを設定すると、その後修正ができないので、新規で広告を作り直す必要があります。
また、Googleアナリティクスなどの分析ツールとの自動連携機能を持っていないので、アクセス解析をおこなう場合、最終リンクにパラメータを振り、計測できるようにする必要があり、手間がかかります。
YahooよりGoogleからの流入の方が多いことが一般的です。さらに機能性、操作性もGoogle広告のほうが優れていますので、Google広告かYahoo広告か、どちらか一択を迫られたらGoogle広告を強くおすすめします。
2.Google広告のリスティングの特徴をご紹介~ウェブマーケティング初心者でも効果が出しやすい理由とは?
数多くあるウェブマーケティング施策のなかでも、難易度が低く、初心者でも効果が出しやすい施策は「Google広告のリスティング」です。その理由を解説します。
Google広告のリスティングは特別な技術、知識がなくても開始できる
▼Google検索広告で出稿を開始するために必要な準備
- Google広告のアカウント
- 出稿費(支払い用のクレジットカード)
- 出稿するキーワード
- 広告文(見出し、本文)
これらを準備し、ツールの使い方を理解すれば、誰でも直接リスティング広告を出稿できるようになります。
出稿するための「広告出稿費」は発生しますが、それ以外は無料で利用できます。
※上記はあくまで最低限の準備内容です。
またGoogle広告のほうがYahoo広告より機能性、操作性に優れているため、Google広告からスタートすることをおすすめします。
Google広告のリスティングはデータの分析が比較的簡単
インハウス化するにあたり、データの見方がわからないなど、効果検証のハードルを高く感じている方も多いと思います。しかしご安心ください!Google検索広告はウェブサイト全体のアクセス解析と比較すると、データ分析が簡単です。
- 広告を出稿すればデータが溜まる
- Google検索広告で取れたデータの効果検証をするため、分析範囲が狭い
- 施策履歴を自動で記録してくれるので、施策実施の記録をつけなくてよい
- 施策と結果の因果関係がわかりやすい
- 簡易レポート機能が付いているので、自動でグラフや表が出力できる
- Googleデータポータルとの連携が簡単
これからアクセス解析にチャレンジする方の練習としてもおすすめです。
Google広告のリスティングはPDCAを高速で回しやすい
リスティング広告とよく比較されるのが「SEO」です。SEOは検索順位を上げるために、できる施策がたくさんあるため、施策の選定や実行に時間がかかってしまうことも多くあります。
特にSEO向けの施策としておこなわれる新規記事(ブログ)の作成は、1本書き上げるだけでも多くの時間が消費され、また精神的にも大変です。
さらに施策を実施してから効果がでるまで数ヶ月かかる場合も多く、PDCAを1度回すだけで長期の時間を要し、複数の施策を実施していると、効果のあった施策を特定することが難しい場合もあります。
しかしGoogle検索広告は機能が限られているので、課題に対しておこなうべき改善施策の選定が明確です。さらに実施した施策の効果は比較的短時間で反映されます(AIの学習期間を考慮しても長い場合で1週間程度)。
このような理由から、Google検索広告は高速でPDCAを回しやすいウェブマーケティング施策なのです。
Google広告のリスティングはサポート体制がしっかりしている
Google広告には「最適化提案」という機能があり、Googleが改善施策を自動的に提案してくれます。施策に困った時は、この提案に沿って改善していくこともできるので、施策の選定に時間を使わずに済みます。
さらに一定期間Google広告の担当者から電話サポートを受けられることもあるので、日々の運用での悩みを直接相談でき、初心者でも安心です(サポート対象は特定の条件があります)。
Google広告のリスティングはSEO対策のキーワード調査ツールとして利用できる
コンテンツSEOを実施する際に、最初におこなうのはキーワード調査です。このキーワード調査をおこなう時によく聞く悩みが「ユーザーのニーズは多種多様すぎてどのようなキーワードから着手すべきかわからない」という声です。
そのような時、Google検索広告の結果をキーワード調査として利用できます。
気になるキーワードを出稿すれば、
- コンバージョンしやすいキーワード
- 類似した潜在キーワード
といったデータを取得することができ、SEOで優先的に施策を打つべきキーワード選定のサポートツールとして活用できるのです。
3.Google広告のリスティングをインハウス化した時に得られるメリットは?
ではなぜインハウス化の流れが主流になってきているのでしょうか?インハウス化した時のメリットを5つの観点から解説します。
1)インハウス化は自社にノウハウが溜まる
これがインハウス化最大のメリットです。
リスティング広告を外注しているクライアント様から、「外注先がおこなっている施策が不透明」という不満をよくお聞きします。予算や工数によって施策内容がどの程度変わるのか、そもそも依頼内容をきちんと理解してくれているのか、外注先に不信感を持っている方も多いようです。
インハウス化することによって、施策内容や、実施するための必要工数を理解できるようになります。ノウハウが溜まった暁には、目的やターゲットに最適な施策選定や改善もできるようになるでしょう。
また外注先をディレクションできるようになるために、一度インハウス化したあと、再度外部に依頼する、といったケースも見られます。
2)インハウス化はPDCAのスピードが上がる
インハウス化が進めば業務が社内で完結するため、外注先への連絡事項をまとめたり、リアクションをただ待つだけだったりということがなくなり、時間のかかっていた調整業務が一気に削減できます。
さらに制作物が発生する場合、軌道修正の時間も短縮され、施策の立案から実施までのスピードが上がります。
3)インハウス化は費用削減につながる
リスティング広告を外注する場合は、費用の内訳には「運用費」や「作業費」など外注先の人件費や技術料などが含まれます。インハウス化をおこなえば、自社の人件費と原価のみで施策の実行ができます。
また継続的にリスティング広告を実施する場合、ランニングコストの削減にもつながります。
4)インハウス化は情報の質が上がる
リスティング広告を構成する要素は主に「テキスト」です。外注先が良い広告を作成するためには、商品やサービス、用語の意味について深く理解をしてもらう必要があります。そのためには多くの学習コストがかかりますし、専門的な内容の場合は、正しく理解をしてもらえず、できあがったコンテンツに納得がいかないこともあるかもしれません。
広告の作成を社内の社員がおこなう場合、もともと商品やサービスに関する知識が豊富なため、情報を正しく、わかりやすく、質の高いコンテンツに落とし込むことが可能になります。
5)インハウス化は効果検証の質が上がる
リスティング広告を代理店に依頼している場合、開示されたデータから成果を判断します。親切な代理店の場合、施策の改善提案までおこなってくれますが、そこが弱い場合、自社で判断し、改善施策を考える力が必要になってきます。
インハウス化することで、そもそもどのようなデータが取得できるのか、そのデータの取得方法、数値の見方といったノウハウを溜めることで、担当者自身の効果検証のスキルを向上させることができます。
また商品やサービスに対する知見が深い担当者であれば、代理店よりも効果のある施策を考えつくことも少なくありません。
4.Google広告のリスティングをインハウス化した時に気を付けたい3つのポイント
ここまでインハウス化のメリットを紹介してきましが、インハウス化することによって発生するデメリットも存在します。ここでは、注意点を理解していきましょう。
1)初期投資のコスト(費用、工数)が発生する
リスティング広告(Google検索広告)をインハウス化するまでには、以下のステップを踏みます。
- 社内の運用担当者を確保する
- Google広告のアカウントを開設する
- Google広告の使い方を学ぶ
- 広告出稿の企画・設計をおこなう
- 出稿するための設定をおこなう
- 出稿を開始する
- データを集計・分析する
- 改善施策を検討し、設定を調整する
外注の場合、これらの大部分を外注先が代行してくれます。しかしインハウス化の場合はすべて自社でおこなわなければなりません。そのための初期投資は欠かせないコストになります。
リスティングを継続的におこなう場合、インハウス化の初期投資コストは将来的に回収できます。しかしリスティングを短期施策としておこなう場合、外注に委託したほうがコスト面では負担が軽くなる場合もありますので、ウェブマーケティング方針にあった選択が必要です。
2)運用の作業負荷がかかる
PDCAを回すためには、出稿開始後の効果検証と設定調整の作業が必要です。そのため、日常的にGoogle広告をチェックする業務が発生します。
さらにそこから課題を発見、改善施策を検討・実施する業務もセットで発生しますので、運用の作業負荷は継続的にかかります。
3)最新情報が入手しにくい
外注先はGoogle広告から直接最新情報を入手しているケースもあり、そこで得た情報を提案してくれることがあります。一方インハウス化した場合、つねに最新情報を意識し、自発的に取得していかなければなりません。
Google広告の場合、新機能などの最新情報はGoogle広告のサイト内に掲載されます。そこで日ごろから新機能や機能停止情報を取得し、自発的に知識をアップデートさせることが必要です。
Google広告ヘルプ|新機能とお知らせ
(https://support.google.com/google-ads/announcements/9048695)
5.リスティング広告(Google検索広告)インハウス化の方法を知りたい方へ
いかがでしたでしょうか。
Google検索広告はウェブマーケティングをインハウス化したいと考えている方におすすめできる、初心者向けの施策です。現在の外注先にモヤモヤしている方は、まずはアカウント開設から初めてみましょう。
Google広告ヘルプ|Google広告ご利用ガイド
(https://support.google.com/google-ads/answer/6146252?hl=ja&ref_topic=10286612,3181080,3126923,&visit_id=637830161136875719-3895261990&rd=1)
ウェブマネジメント・アカデミーの運営会社であるあやとりでは、リスティング広告のインハウス化支援もおこなっております。支援をご希望される方は、お気軽にお問合せください。
- 株式会社あやとり
企画制作部 - 片岡 泰仁
この記事の監修者
ウェブサイトの制作手法として、SEO、ユーザビリティ、アクセシビリティ、W3Cのウェブ標準、JIS X8341をいち早く取り入れ、デザイン、マークアップ、CSS、JavaScript、PHPなど、特にフロントエンドにかかわるスキルを幅広く習得。CCO/クリエイティブディレクターとして制作全般を担当し、大手広告代理店やウェブ制作会社の教育指導も手掛けます。
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